เข้าสู่ระบบ潜水艇「蒼鯨」は、深澄が長年使っている小型の潜航艇だ。
全長五メートル、球形の耐圧殻に推進器と照明、各種センサーを装備している。一人乗りの設計で、最大潜航深度は五千メートル。深澄の相棒であり、命を預ける器でもある。
「気圧チェック、問題なし。酸素供給、正常。通信システム、良好」
蒼真の声が通信機から流れてくる。
「深澄、本当に三千まで行くのか? 今日は特に海況が不安定だ。急な引き返しも考慮しろよ」
「分かってる。何かあったらすぐ連絡する」
深澄は操縦席に身を沈めた。計器を確認し、バラストタンクの調整をする。
「それじゃあ、行ってくる」
「無事に戻れよ」
蒼真の声に、いつもとは違う緊張があった。彼も、今日の潜航が特別だと感じているのかもしれない。
バラストタンクに海水が流れ込み、蒼鯨はゆっくりと沈み始めた。
最初の数十メートルは、光が豊かだ。浮島の下に広がる人工の根がある。そこには魚たちが群れをなし、海草が揺れている。人間が作った生態系。百年以上の時間をかけて、海と共生するための努力の結晶。
百メートルを過ぎると、光が弱くなる。青が深くなり、視界が狭まっていく。照明を点けると、プランクトンが光の中を舞った。
二百メートル。光が届く限界。ここから先は薄明帯。わずかな光が差し込むが、植物が光合成できるほどではない。ここに住む生物たちは、上から降ってくる有機物を食べるか、互いを捕食するしかない。
深澄は計器を見ながら、母のことを考えた。
母は海を怖がっていたと言った。だが同時に、深澄が海を好きになったことを喜んでいた。その矛盾は何だったのか。
おそらく、母も何かを知っていた。キサラギのこと。あの珊瑚のこと。そして、写真に写っていた女性──深澄の祖母のこと。
だが母は語らなかった。語れなかった。
なぜ?
五百メートル。完全な闇。蒼鯨の照明だけが、周囲の海を照らしている。時おり、発光する生物が視界を横切る。クラゲ、魚、小さなエビのような生き物。彼らは自ら光を放ち、暗闇の中で生きている。
深澄は照明を絞った。外部照明を最小限にすると、海そのものが放つ微かな生物発光が見えてくる。それは星空のように、闇の中にまたたいている。
美しい、と深澄は思った。
鷹臣が言った言葉を思い出す。「暗闇の中の、命」。まさにその通りだ。
千メートル。水圧計の針が着実に上がっていく。ここは中深層。太陽光は完全に届かない。温度も急激に下がる。だが、生命は存在する。適応し、進化し、生き延びる。
通信機が鳴った。
「深澄、そろそろ千五百に達する。状態は?」
「問題なし。蒼鯨も順調」
「分かった。だが、二千を超えたら特に注意しろ。あの深度は予測不能な海流がある」
「了解」
深澄は降下を続けた。
千五百メートル。ここは深海の入口。生物の数は減るが、いなくなるわけではない。巨大なイカ、透明な魚、奇妙な形のエビ。彼らは深海のプレッシャーの中で、独自の進化を遂げている。
深澄は思う。人間も同じではないか、と。
陸地が沈み、生活が一変したとき、人類も適応を迫られた。浮島を作り、海と共生する文化を築いた。そして死者を海に還すという習慣も、その適応の一つだった。
海は母だと、古代の人々は言った。すべての生命は海から生まれた。ならば海に還るのは、帰郷なのかもしれない。
二千メートル。
突然、蒼鯨が揺れた。
「深澄! 海流だ! すぐに方向を調整しろ!」
蒼真の声が緊張している。計器を見ると、予期せぬ横流れが発生している。深澄は落ち着いてスラスターを操作し、艇を安定させた。
「大丈夫、制御できてる」
「無理するな。引き返してもいいんだぞ」
「もう少しだけ」
深澄は降下を続けた。
だが、海流は収まらなかった。むしろ強くなっている。まるで、何かが蒼鯨を引っ張っているかのように。
そして、深澄は気づいた。
この海流の方向──それは「沈黙の庭」がある方角だ。
偶然だろうか?
いや、と深澄は思った。偶然ではない。
胸元の珊瑚の欠片が、熱を帯びている。それは脈打つように、一定のリズムで温かくなったり冷たくなったりしている。
まるで、心臓のように。
まるで、何かを呼んでいるように。
「深澄! おい、深澄! 聞こえてるか!」
蒼真の声が遠い。
「航路が逸れてる! 今すぐ浮上しろ! そっちは禁止区域だ!」
深澄は知っていた。だが、手が動かなかった。
いや、動かしたくなかった。
この海流に身を任せたら、どこへ行くのか。何が待っているのか。ずっと探していた答えが、そこにあるような気がした。
「ごめん、蒼真」
深澄は小さく呟いた。
「私、行かなきゃいけない」
「何? 深澄、何を言って──」
深澄は通信機のボリュームを下げた。そして、スラスターを海流の方向に向けた。
蒼鯨は加速した。
闇の中を、深く、深く。
二千五百メートル。
三千メートル。
そして──
光が見えた。
最初は信じられなかった。こんな深度に、光源があるはずがない。
だが、それは確かにそこにあった。
淡く、青白く、ときおり紫色に変化する光。それは点在しているのではなく、広範囲に広がっていた。まるで、海底に都市があるかのように。
深澄は息を呑んだ。
それは珊瑚礁だった。
だが普通の珊瑚礁ではない。珊瑚の一つ一つが光を放っている。生物発光ではない。もっと安定した、持続的な輝き。
蒼鯨が近づくと、その規模が分かってきた。
巨大だった。
幅にして数百メートル。高さも数十メートルはある。珊瑚は複雑に入り組み、まるで建造物のような構造を作っている。廊下があり、部屋があり、広場がある。
そして深澄は理解した。
これは船の形だ。
珊瑚が、沈んだ船の形を模倣している。いや──記憶している。
「キサラギ……」
深澄は呟いた。
これが、百五十年前に沈んだ移民船。これが、八百七十三名の人々と共に海底に消えた船。
そして、深澄の祖母が乗っていた船。
蒼鯨をゆっくりと珊瑚礁に近づけた。照明を落とすと、珊瑚自身の光がよりはっきりと見えた。白、青、紫、そして──紅。
紅い珊瑚が、珊瑚礁の中心部にあった。
それは他の珊瑚よりも大きく、まるで心臓のような形をしていた。脈打つように、光の強弱が変化している。
深澄の胸の中の欠片と、同じリズムで。
蒼鯨を珊瑚礁の近くに停泊させた。深澄は潜水服を最終チェックし、エアロックに入った。
「行ってくる」
誰に言うともなく呟き、外部ハッチを開いた。
深海の水が、ゆっくりと侵入してくる。気圧が均等になり、ハッチが完全に開いた。
深澄は海の中へ泳ぎ出した。
潜水服の照明が、周囲を照らす。だがそれは必要なかった。珊瑚の光で、十分に見えた。
近づくと、珊瑚の表面に細かい模様があることが分かった。それは単なる自然の造形ではなかった。何かの文字のような、記号のような、あるいは──記憶のような。
深澄は手を伸ばした。
珊瑚に触れた。
その瞬間──
世界が変わった。
深澄の新しい儀式は、浮島の人々の間で評判になった。 海葬に、歌を加える。それは単純なことだった。だが、その歌には不思議な力があった。 遺族たちは、深澄の歌を聞いて涙を流した。 だが、それは悲しみだけの涙ではなかった。 慰めがあった。希望があった。 死者は消えない。形を変えて、存在し続ける。 いつか、光になる。 その信念が、人々の心を癒した。 深澄のもとには、多くの依頼が来るようになった。だが、深澄はすべてを受けるわけではなかった。 彼女には、もう一つの使命があった。 記憶を探すこと。 深澄は定期的に、深海に潜った。新しい珊瑚礁を訪れ、その成長を見守った。 珊瑚は少しずつ、だが確実に育っていた。 まだ記憶を宿すには小さすぎる。だが、いつか──何十年後、何百年後──また巨大な珊瑚礁になるだろう。 そして、新しい記憶を保存するだろう。 深澄は思った。 これは循環なのだと。 生と死、記憶と忘却、個と全体。 すべてが繋がり、循環している。 ある日、深澄は一人の少女と出会った。 十二歳の少女、名前は珊瑚。 皮肉な偶然だった。 珊瑚は母親を海で亡くしていた。事故だった。突然の嵐で、母親の船が転覆した。 珊瑚は海を憎んでいた。「海は、お母さんを奪った」 珊瑚は深澄に言った。「私、海が嫌い」 深澄は珊瑚を見た。 その目に、かつての祖母を見た気がした。 海を恐れ、憎みながら、それでも海に惹かれていた汐音を。「珊瑚ちゃん」 深澄は優しく言った。「海は、お母さんを奪ったんじゃないの」「でも──」「海は、お母さんを受け入れたの」 深澄は珊瑚の手を取った。「お母さんは、今も海の中にいる。消えてない。形を変えて、存在してる
数週間後、深澄は海葬師として新しい儀式を執り行っていた。 依頼主は、あの鷹臣だった。 医者の予想よりも早く、鷹臣の体調は悪化した。彼は自分の死期を悟り、深澄に最後の依頼をした。「俺を、深い場所に送ってくれ」 鷹臣は病床で言った。「お前が見つけてくれた場所に」 深澄は頷いた。「分かっています。必ず」 鷹臣は三日後、静かに息を引き取った。 葬儀の日、深澄は鷹臣の遺体を特殊な繭で包んだ。これは深海の圧力にも耐える素材で作られており、遺体をゆっくりと分解させながら、海の生態系に還していく。 深澄は蒼鯨に繭を載せ、鷹臣が選んだ場所へと向かった。 三千メートルの深海。 かつて「沈黙の庭」があった場所の近く。今はもう珊瑚礁はない。だが、深澄はここを選んだ。 鷹臣もまた、あの珊瑚礁を見た人間だったから。 深澄は繭を海に沈めた。 繭は静かに降下していく。暗闇の中へ、深海の底へ。 そして、深澄は歌い始めた。「深き海の底にて、眠りにつく者よ」 深澄の声が、通信機を通じて蒼真にも聞こえている。「波の揺籃に抱かれ、夢を見よ」 蒼真は何も言わなかった。ただ、静かに聞いていた。「いつかまた、潮が満ちるとき」 繭が、視界から消えた。「わたしたちは、光になる」 深澄は歌い終えた。 しばらく、沈黙があった。 やがて、蒼真の声が聞こえた。「美しい歌だな」「ええ」 深澄は微笑んだ。「大切な歌よ」 深澄は浮上を始めた。 だが、その途中で──奇妙なものを見た。 かつて珊瑚礁があった場所に、小さな光が見えた。 深澄は蒼鯨を近づけた。 そこには、新しい珊瑚が育ち始めていた。 まだ小さい。だが、確かに光っている。 深澄は息を呑
深澄が蒼鯨に戻ったとき、通信機が激しく鳴っていた。「深澄! 深澄! 応答しろ!」 蒼真の声は、怒りと安堵が入り混じっていた。「ごめん、蒼真。心配かけた」「心配? 心配どころじゃない! お前、禁止区域に入っただろう! どうなってるんだ!」「説明する。今、浮上するから」 深澄は蒼鯨のバラストを調整し、浮上を始めた。 上昇しながら、深澄は考えた。 今、何が起きたのか。 珊瑚礁は消えた。死者たちの魂は解放された。 では、彼らはどこへ行ったのか? 深澄は思い出した。祖母の最後の記憶で見た光景。魂が上昇し、海面を超え、空へ、そしてその先へ。 宇宙か? いや、もっと抽象的な何かかもしれない。 量子レベルでの情報の再編成。意識のネットワークへの統合。あるいは、単純に──次の存在形態への移行。 深澄には分からなかった。 だが、一つだけ確かなことがあった。 彼らは、平和だった。 苦しみから解放され、次の段階へ進むことができた。 そして、それを可能にしたのは──歌だった。 三世代にわたって受け継がれた、あの子守唄。 深澄は思った。歌には力がある。言葉には力がある。 それは科学では説明できない力。だが、確かに存在する力。 記憶を繋ぎ、魂を慰め、そして──解放する力。 蒼鯨は浮上を続けた。 千メートル。 五百メートル。 やがて、光が見え始めた。太陽の光。 深澄は窓の外を見た。 そして、息を呑んだ。 海面の上、夜空に──流れ星が降っていた。 いや、降っているのではない。昇っているのだ。 無数の光の筋が、海から空へ、そして宇宙へと伸びていく。 死者たちの魂。 彼らは、本当に光になったのだ。 深澄は涙が止まらなかった。 美し
記憶が洪水のように押し寄せてきた。 だが、それは祖母の若い頃の記憶ではなかった。年老いた汐音の記憶だった。 汐音は小さな船に乗っていた。一人で。夜の海。星が無数に輝いている。 彼女の髪は白く、顔には深い皺が刻まれている。だが、目には決意があった。 手には、紅い珊瑚の欠片。 深澄が母の遺品の中で見つけたものと、同じ欠片。「ずっと、ここに来たかった」 汐音は海を見つめながら呟いた。「でも、怖くて来られなかった。渚が生まれてから、ずっと」 渚──深澄の母。 汐音は娘を産んだ後、海を恐れるようになった。船の沈没のトラウマ。夫を失った悲しみ。海は汐音から、最も大切なものを奪った。 だが同時に、汐音は海に惹かれ続けた。矛盾する感情。海を憎みながら、愛していた。「渚は大きくなった。もう、私がいなくても大丈夫」 汐音は自分の手を見た。痩せて、血管が浮き出ている。「私の時間も、そう長くない。医者はまだ数年と言うけれど、自分の体は分かる。もう、終わりが近い」 汐音は珊瑚の欠片を握りしめた。「だから、最後に──あなたたちのそばに帰りたい」 汐音は立ち上がった。 そして、何の躊躇もなく、海に飛び込んだ。 水が冷たい。だが、汐音は泳いだ。深く、深く。 呼吸が苦しくなる。肺が悲鳴を上げる。だが、汐音は潜り続けた。 やがて、光が見えた。 深海に、不可思議な光。青白く、時おり紫色に変わる光。 珊瑚だ。 汐音の意識が薄れていく。酸素が足りない。体が限界を訴えている。 だが、汐音は微笑んだ。 届いた。あの場所に。 汐音の体が珊瑚に触れた。 その瞬間── 汐音は見た。 蓮がいた。 若い頃の蓮。嵐の夜、汐音を救命艇に乗せた蓮。あの笑顔。「待っていたよ」 蓮が言った。
深澄は船の甲板に立っていた。 いや、違う。深澄の体ではなかった。別の誰かの視点。別の誰かの記憶。 風が吹いている。塩辛い海風。髪が顔にかかり、それを手で払う。その手は若い。細い指。深澄よりもずっと若い。 周囲には人々がいる。荷物を持ち、子どもたちを連れ、不安と期待の入り混じった表情で船に乗り込んでいる。「汐音! こっちだ!」 男の声。振り返ると、三十代くらいの男性が手を振っている。浅黒い肌、がっしりした体格。笑顔が優しい。 汐音──これが、この記憶の主の名前だと分かった。 そして深澄は理解した。 これは祖母だ。自分の、見たことのない祖母。「待って、蓮! 荷物が重いの!」 汐音は笑いながら言った。その声は若く、活力に満ちている。 蓮と呼ばれた男性が走ってきて、荷物を受け取った。「もう、お前は何でもかんでも持ってこようとするんだから」「だって、大切なものばかりなんだもの」「新しい島では、新しいものが手に入る。過去に執着しすぎるなよ」「でも」 汐音は荷物を見た。「これは私たちの記憶よ。捨てたくない」 蓮は優しく笑った。「分かってる。冗談だよ」 二人は船室に向かった。廊下はまだ新しく、塗料の匂いがする。方舟キサラギは、この大移動のために建造された最新の移民船だった。五千人を収容でき、一年間の航海にも耐えられる設計。 だが、船は満員ではなかった。予定よりも少ない、約千人。多くの人々が、陸地を離れることを拒んだのだ。最後まで。「ここが僕たちの部屋だ」 蓮が扉を開けた。小さいが清潔な船室。窓からは海が見える。「素敵ね」 汐音は窓に駆け寄った。「ここから毎日、海が見られる」「お前、本当に海が好きだな」「ええ。だって、海は命の源でしょう? 私たちはみんな、海から来た。そしていつか、海に還る」「詩人みたいなことを言う」
潜水艇「蒼鯨」は、深澄が長年使っている小型の潜航艇だ。 全長五メートル、球形の耐圧殻に推進器と照明、各種センサーを装備している。一人乗りの設計で、最大潜航深度は五千メートル。深澄の相棒であり、命を預ける器でもある。「気圧チェック、問題なし。酸素供給、正常。通信システム、良好」 蒼真の声が通信機から流れてくる。「深澄、本当に三千まで行くのか? 今日は特に海況が不安定だ。急な引き返しも考慮しろよ」「分かってる。何かあったらすぐ連絡する」 深澄は操縦席に身を沈めた。計器を確認し、バラストタンクの調整をする。「それじゃあ、行ってくる」「無事に戻れよ」 蒼真の声に、いつもとは違う緊張があった。彼も、今日の潜航が特別だと感じているのかもしれない。 バラストタンクに海水が流れ込み、蒼鯨はゆっくりと沈み始めた。 最初の数十メートルは、光が豊かだ。浮島の下に広がる人工の根がある。そこには魚たちが群れをなし、海草が揺れている。人間が作った生態系。百年以上の時間をかけて、海と共生するための努力の結晶。 百メートルを過ぎると、光が弱くなる。青が深くなり、視界が狭まっていく。照明を点けると、プランクトンが光の中を舞った。 二百メートル。光が届く限界。ここから先は薄明帯。わずかな光が差し込むが、植物が光合成できるほどではない。ここに住む生物たちは、上から降ってくる有機物を食べるか、互いを捕食するしかない。 深澄は計器を見ながら、母のことを考えた。 母は海を怖がっていたと言った。だが同時に、深澄が海を好きになったことを喜んでいた。その矛盾は何だったのか。 おそらく、母も何かを知っていた。キサラギのこと。あの珊瑚のこと。そして、写真に写っていた女性──深澄の祖母のこと。 だが母は語らなかった。語れなかった。 なぜ? 五百メートル。完全な闇。蒼鯨の照明だけが、周囲の海を照らしている。時おり、発光する生物が視界を横切る。クラゲ、魚、小さなエビのような生き物。彼らは自ら光を放ち、暗闇の中で生きている。 深澄は照明を絞った。外部照明を最小限にすると、海そのものが放つ微かな生物発光が見えてくる。それは星空のように、闇の中にまたたいている。 美しい、と深澄は思った。 鷹臣が言った言葉を思い出す。「暗闇の中の、命」。まさにその通りだ。 千メートル。水圧計の針が着